肌や細胞はアミノ酸の集合体。

最近、注目の美容成分として配合されているアミノ酸やペプチドのことが気になっている方も多いと思います。アミノ酸、ペプチド、タンパク質の大きな違いは、アミノ酸は「原料」であり、ペプチドやタンパク質はその「集合体」であることです。

 アミノ酸はペプチドやタンパク質を構成している最小の成分。「セリン」や「グルタミン酸」、「オルニチン」などがあります。必須アミノ酸のように食事などから摂り入れなければいけないものと、他のアミノ酸を原料に体内で作られるものがあります。

 ペプチドは、おおよそ2〜50個のアミノ酸からなる比較的小さな集合体。情報伝達成分として体や細胞のあらゆるところで働いています。「ヒト成長ホルモン」や、最近のメラニンの合成を促進させる事がわかった「エンドセリン」もペプチドです。

 タンパク質はアミノ酸やペプチドがさらに数多く結合した大きな集合体。肌や髪の毛、筋肉は主にタンパク質でできています。人のタンパク質は20種類・約50個以上のアミノ酸が複雑に組み合わさってできています。肌のハリや弾力を支えているコラーゲンやエラスチンはタンパク質です。また、食物を消化したり花粉症などのアレルギーを引き起こすのも、タンパク質の働きによるものです。良い働きも悪い働きもありますが、タンパク質は生物が生きていくために必要な働きを担っています。

 アミノ酸がペプチドやタンパク質の原料になっているということは、アミノ酸が体内で減少すると、その合成物であるペプチドも減少するということです。ペプチドが減少すると、体内の情報伝達が鈍るため、タンパク質の合成もうまくいきません。

 一見すると、全ての原料となるアミノ酸の摂取が重要と思われますが、アミノ酸・ペプチド・タンパク質それぞれの役割が異なるので、いずれかではなく、すべてが重要になります。

 

ペプチドは体内の伝令役

ペプチドは、アミノ酸の種類や組み合わせの順番によって、働き方が変わります。

基本的に10個前後のアミノ酸が繋がったものを「オリゴペプチド」、それ以上のものを「ポリペプチド」と呼びます。
HGHにからむアミノ酸にはいろいろな種類がありますのでこちらもご参照ください。

「インスリン」のように血糖値を整えさせる働きのものもあれば、「EGF」のように肌を再生させるものもあります。

ペプチドは、主にタンパク質や細胞に対して「○○しなさい」という指令を出す働きをしています。

タンパク質は動作の実行役

タンパク質ほど大きな集合体になると、特有の構造や機能を持ちます。

タンパク質は体や肌などの組織を作ることはもちろんですが、筋肉の「アクチン」や「ミオシン」、代謝に関係する酵素もタンパク質です。

なお、免疫を司る「抗体」、血液内に含まれる栄養や情報を運ぶ「グロブリン」もあります。

タンパク質は、主にペプチドなどから受け取った指令(情報)を具体的に実行しています。

肌を作るタンパク質、肌を作らせるペプチド。

特定の機能を承認する「トクホ」。マーク取得のためには、多くの臨床結果の提出が必要とされているため、効果に対する信憑性が高い。

美容素材として有名なコラーゲンは、食事で摂取してもほとんどはアミノ酸に分解・吸収されて体全体に循環します。

そのため、肌水分量が増加するなどの効果は期待できますが、シワに対してピンポイントな効果は期待できません。

また、経口摂取したペプチドもタンパク質と同様に、吸収されるまでにアミノ酸に分解されてしまいます。

 アミノ酸は、バランスの良い食事をしていればバランス良く摂取できます。

ところが、実際には食事そのものが偏っていることが多いでしょう。その場合、「アミノ酸を補充する」という目的でサプリメントを利用するのも一つの方法です。

近年、エラスチンペプチド(エラスチンの分解物)のような特定のペプチドは消化官で分解されず、そのまま吸収されるとの報告があります。

肌を活性化させるなどの美容効果を目的に摂るなら、機能が検証・報告されているサプリメントやトクホのマークが一つの目安になります。

 化粧品のように肌から吸収する場合は、消化酵素による分解が行われないため、ペプチドの持っている情報やシワなど特定の悩みへの効果が期待できます。

 そこで、化粧品に配合されているアミノ酸・ペプチド・タンパク質にスポットを当てて解説していきます。

 

美肌作りをサポートするペプチド

 保湿効果のあるアミノ酸・ペプチド・タンパク質は肌の水分保持力を高めるため、効果的な成分です。植物エキスやプラセンタエキスにはアミノ酸やペプチドが豊富に含まれています。
 では、保湿以外の機能性についてアミノ酸から順に見ていきましょう。
 角質層はケラチンというタンパク質でできていますので、アミノ酸は肌につけると角質層深くまで浸透します。ペプチドやタンパク質も角質層になじみやすく、高い保湿効果により角質層のバリア機能を強化します。また、肌に備わっている「天然保湿因子(NMF)」はアミノ酸や尿素など20種類の成分で構成されているため、アミノ酸自体もNMFに取り込まれます。すなわち、アミノ酸は表皮のバリア機能を支える美容効果の礎になるのです。