ぐるぐると自分の周りの景色が回っているような回転性のめまいが起きた時、半数以上は良性発作性頭位めまい症であると言われています。りょうせい ほっさせい とういめまいしょう と読みます。※英語でBenign Paroxysmal Positional Vertigo」といい略してBPPVといわれます。
サッカー女子元日本代表なでしこジャパンの澤選手が、この良性発作性頭位めまい症になったことでその病名が世間に広く知れわたりました。これはいったい、どのような病気なのでしょうか。
目次
良性発作性頭位めまい症(BPPV)の症状
特定の頭位を取ることで回転性のめまいが起きる病気です。その頭位は人によって様々であり、例えば、右側を下にして寝ると発生する人や、左側を下にして発生する人、普通に寝たり起きたりしただけで発生する人もいます。ちょっと頭を下げて起きたりすると、めまいが起きたりする、といった感じです。
この時のは必ず回転性のめまいで、ふわふわした浮動性の立ちくらみではありません。一度おこったら30秒ぐらいで軽くなって自然に消失します。
同じ頭位を繰り返して取っているとだんだんめまいが起きなくなってきます。頭を動かさないでじっとしている限りは、めまいはおきませんので他の病気との区別がつきやすいです。
同じく耳が原因になるメニエール病や突発性難聴のような、耳鳴りや耳の閉塞感などの張力の異常はおこりません。
乗り物酔いのようなむかつきや気分が悪くなる症状が出て、嘔吐する場合も多いです。
良性発作性頭位めまい症の原因
回転性のめまいが起こるので耳が原因です。耳の中の内耳の三半規管に炭酸カルシウムのかけらである耳石が入り込むことで起きると考えられていますが、なぜ入り込むかははっきりとわかっていません。
寝ているときに耳石がはがれて入り込むことが多いようです。また、交通事故や頭を強く打ったときにもみられます。過労やストレスなども原因と考えられています。
良性発作性頭位めまい症の対応
めまいが起きる方向に頭を動かしてみて30秒以内におさまらずに続くようなら、悪性発作性頭位めまい症なども疑われますが、おさまるようなら心配いりません。
良性というように、特に治療しなくても自然とめまいの起きる回数が少なくなり、消失していきます。しかし、症状は個人差があり、激しいめまいが突然起きた場合は脳の重大な病気かもと救急車を呼ぶ人も多いようです。
動くとめまいが起きるので病院を受診するのも大変ですが、症状がきつくてつらいときや他の病気の可能性が気になるときは一度耳鼻咽喉科を受診したら安心でしょう。
良性発作性頭位めまい症の治療
耳鼻咽喉科を受診したらベッドに横になって、頭を右や左など色々な方向に向けてみて、めまいがどの姿勢のときに起こるかを調べます。
めまいが起きたときには、眼を調べると特有の眼振が見られるのでめまいが起きていることがわかります。
メニエール病や突発性難聴など他の病気かもしれないので、聴力検査をして聴力に異常がないか調べます。
良性発作性頭位めまい症予後
特に投薬などしなくても自然に治癒するのですが耳鼻科では、めまいに伴う吐き気を抑える吐き気止め、飲むのが難しいようなら座薬、症状が激しいときは注射や点滴、抗めまい薬、脳や内耳の血流をふやしてむくみを取る薬、安定剤などの薬がよく出されます。
めまいに対する不安を取り除くため、まためまいが起きたらどうしようかという不安感がめまいを悪化させることがあるため、じっと安静に寝ているよりも、体を動かした方がよいです。運動することにより、三半規管に剥がれ落ちた耳石を前庭部に戻すことができ、めまいの消失も早くなって治りがよいと言われています。早い人では1週間以内、長くても2~3週間で自然に治ります。
ただ、この良性発作性頭位めまい症は一度だけでなく期間を置いて再発する人が多いようです。過労やストレスも関係しているので一度なると、また疲れやストレスが溜まった時に症状が出る人がよく見られます。
一度めまいが起きると、一旦おさまって普通の生活がおくれていても、「またあのめまいの発作におそわれるのではないか。」という不安感が強くなる人もいます。めまいが起きた時の状況をよく考えて、過労やストレスを溜めないように気を付けましょう。
良性発作性頭位めまい症対策 エプリー法
エプリー法といって、めまいが起きる頭位をわざと取って入り込んだ耳石を前庭部に戻す頭位操作法があります。
これをやると7割の確率でその場で治ると言われていますが専門医でないとなかなか難しいようです。家で気軽にできることとして、このエプリー法のように、寝転んで頭の向きを色々変えるめまい体操があります。
即効性はありませんが自宅で取り組んでみても良いでしょう。ただ、わざとめまいが起きる方向に頭をむけるので、一時的ではありますがひどいめまいにおそわれて、嘔吐がひどくなったりするのでめまいの症状がひどい時には無理をしないようにしましょう。
日常でできること
この耳が原因でのめまい、結局は平衡感覚が弱いことが原因ですので、普段から平衡感覚を鍛えておくことが大切です。頭や顔を左右に動かすめまい体操をしたり、軽い運動を日常的な習慣にしましょう。
ストレスをためこまない、睡眠をしっかりととる、塩分や水分をとりすぎない、カルシウムを積極的にとって、カフェインやたばこを控えるなど規則正しい生活を送るようにしましょう。
また、めまいの症状を軽減するサプリなどを服用する方法もあります。(医師の指導のもと行ってください)。また、更年期障害が関係しておこる目眩があり、海外では更年期・女性特有の悩みに対してピクノジェノールなどが勧められる国もあります。何れにしても、健康に気を使い適度な有酸素運動を行うようにしましょう。
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