近赤外線は強さや照射時間を調整すれば有益ですが、太陽光に含まれる近赤外線は強すぎて、光老化を引き起こします。

1980年代にペンシルバニア大学のクリグマン博士は、ラットを用いた実験で紫外線を単独照射するよりも、紫外線と赤外線を混合照射する方が、皮膚の老化を更に促進し、紫外線による皮膚がんの発生も促進することを発見しました。ここから近赤外線の研究が本格的に始められ、老化に対する様々なマイナスの作用がわかってきました。私は近赤外線が皮下筋肉の菲薄化や光線過敏症の増悪、毛細血管拡張症の原因の一つになっていると考えています。
美容面では長時間近赤外線に当たり続けると、シワの増強やたるみを引き起こします。これらの報告から、近赤外線もまた、防御しなければいけない老化光線であると言えます。なお、紫外線に対して防御機能が強い人・弱い人といるように、近赤外線の防御機能にも、強い人と弱い人がいることもわかっています。近赤外線に対する防御機能が弱い人は皮膚の薄い人に多く見られます。
この人たちが、無防備で日常的に近赤外線に曝露されると、発赤・赤ら顔・光老化を引き起こす可能性があります。