地球上に存在する微生物にはさまざまな種類があります。細菌やウイルスは人の健康に危害を加えるものであり、カビも種類によっては強力な毒をもたらす微生物の1つです。そしてその毒は、カビ自体が死んでも、毒としての効力は消えずに残ってしまうそうです。カビ毒を分泌するカビが食品に繁殖した場合、加熱処理したとしても毒は残留し、汚染された食品となってしまうのです。
例えば、トウモロコシがカビ毒のアフラトキシンで汚染されていたとしましょう。その汚染されたトウモロコシを家畜のエサとして与えた場合、カビ毒をそのまま体内に吸収し、分解されることなく蓄積されます。そしてその肉、もしくは乳などから私たち人の体内に取り込まれることになります。このような経緯での感染があることも知っておいて損はありません。
他にもさまざまな種類のカビ毒があり、食中毒や発がん性があるなどの危険性を持っているので注意が必要です。
とはいえ、カビの種類は現在3万種(発見されている物だけで…)、地球上の微生物のおよそ36%を占めているなどと言われています。湿度(水分)・温度・栄養(有機物)・酸素の4つの条件が揃えば、種のように胞子が芽を出し、菌糸が根をはり菌糸体となってコロニー(集落)を作ります。このコロニーの状態になって初めてカビが生えた!と気付くのです。
カビの個性としては、湿気を大変好むもの、普通に好むもの、野菜が好き、くだものが好き、金属が好き、ご飯が好き…など自分の好みで繁殖しているようです。
<カビの種類>
・黒カビ(クロカワカビ)
好きな物…ケーキ、野菜、饅頭、衣類など
好きな場所…台所、浴室、窓枠、壁、床などの湿気が多いところ
悪さ…カビ毒はないが、生活空間のどこにでも存在する比較的メジャーなカビなので、アレルギーなどの原因になる。
・青カビ(ペニシリウム)
好きな物…餅、パン、柑橘類、リンゴ、穀類、果実、サラミ、魚肉の練り製品など
好きな場所…湿気の多いところにある靴など
悪さ…穀類や果実、花の球根などに寄生し「青かび病」を引き起こす。
腎臓に悪いカビ毒「シトリニン」を分泌するやつがいる。
活躍…抗生物質(ペニシリン)を分泌するものがいる。
チーズの表面に生えて、酵素によりチーズを熟成させおいしくするものがいる。
・コウジカビ(アスペルギルス)
好きな物…大豆、米、麦、鰹(かつお)
好きな場所?…樽の中
悪さ…発がん性物質「アフラトキシン」を作りだすやつがいる。
活躍…大量の酵素を生産する能力を持ち、デンプンやタンパク質を分解し醤油や酒など、醸造菌として古くから利用され続けている。
・すすカビ(アルテルナリヤ)
好きな物…餅、イモ類、果実、穀類など
好きな場所…古本、古紙、壁、枯れ葉や枯草、家の中の水回り、エアコンなど
悪さ…軽くて胞子が大きいなど、鼻腔内に溜まり易いため鼻炎の原因になる。認知度の低いアレルギー性真菌副鼻腔炎や皮膚真菌症、角膜炎など、発症率は低いが罹ると怖い。
以上、おおまかなカビの特徴を分類別に紹介しましたが、発見され何かしら病気の原因であるなどの情報はほんの一部だと思われます。
たかがカビと侮らず、有害なカビは寄せ付けないよう気をつけましょう。