13種類あるヒトのビタミンの中でも肌にはやはりビタミンC③

肌に効かせるためには相互作用と高濃度がカギ【1】
ビタミンは複合的にバランスよく摂る

 以前、ビタミンC大量点滴療法が話題になりましたが、あれは〝ご飯だけをたくさん食べる食事〞のようなものです。バランスのよい食事がいいように、ビタミンCをメインに、そのほかのビタミンやアミノ酸をバランス良く入れたほうが遥かに効果的です。

サプリメントなどでビタミンを補う時も、一種類だけを大量に摂っても効果は期待できません。

静脈注射で入れたビタミンの効果

 静脈に直接ビタミンを注射すると、血管を通って皮膚に行き渡るだけでなく、皮膚同様、なかなかビタミンCが届きにくい卵巣や精巣にも流れます。忙しい人は目や脳へ血液が集中するため卵巣や子宮に血液が届きにくくなり、生理も止まります。

以前、ホルモン療法や漢方薬の投与でも治らないホルモンバランスの崩れが、ビタミンC注射で治ったという患者さんもいました。これら婦人科の症状には、ホルモンの合成に必要なビタミンCが不足している場合が多いのです。
 血中濃度を上げるには、注射が一番即効性があります。

ビタミンCを注射すると、あたかも砂漠に水がしみ込むように、あっという間に血中のビタミンC濃度が上がります。ある程度は蓄積される作用もあるようで、元気な状態が一週間くらい続きます。

ビタミン配合化粧品は複数の配合を確認して選ぶ

13種類あるヒトのビタミンの中でも肌にはやはりビタミンC④

肌に効かせるためには相互作用と高濃度がカギ【2】
ビタミン配合化粧品は、複数の配合を確認して選ぶ

 ビタミン配合化粧品には、複数のビタミンやアミノ酸が入っているものが多くあります。これはビタミンの相互作用を考えています。

たとえばビタミンCはすぐに酸化されてしまう性質で、二段階の酸化をします(図3)。

第一段階の酸化を還元するのはビタミンB2です。第二段階の酸化を還元するのはグルタチオンです。ですからビタミンCだけでなく、ビタミンB2や抗酸化ペプチドであるグルタチオンを一緒に取り入れるなど、他のビタミンやアミノ酸と一緒に摂った方が、はるかに効果を期待できます。

また、ビタミンEは末梢血管の拡張作用を促し、活性酸素を消去する働きがありますから、これもビタミンCと一緒に摂った方が効果的でしょう。私が勧めている「カクテルビタミン注射」には、ビタミンCに加えてビタミンB2、B6、ビタミンH(ビオチン)、アミノ酸など、全部セットで配合しています。

なお、低分子のヒアルロン酸、コラーゲンが入っているものもいいでしょう。低分子のヒアルロン酸やコラーゲンが角質層に入ると、それが核になって、自前のコラーゲンやヒアルロン酸を作ることがあります。

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肌の奥に届かせるために望ましいのは「高濃度」

13種類あるヒトのビタミンの中でも肌にはやはりビタミンC⑤

肌に効かせるためには相互作用と高濃度がカギ【3】
肌の奥に届かせるために望ましいのは「高濃度」

  化粧品に配合するビタミンを高濃度にすると、ビタミン濃度が低い肌の奥に素早く入っていきます(図4)。

数年前の医薬部外品のルールでは、化粧品に入れられるビタミンCの上限は3%でした。しかし3%では、表皮にあるメラノサイトに効果があっても、その下までには届かなかったのです。

大量の活性酸素は、角質層よりもさらに下にあり、真皮の中層から下層に存在します。この活性酸素の反応を抑えるために肌の奥にまでビタミンCを届けるためには、6〜8%のビタミンCの配合が必要です。

深部までのロングトラベルをかなえるためには、やはり圧倒的な高濃度にする必要があるのです。

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ビタミンCを効かせるためのリラックスした時間も大事

ビタミンCを効かせるためのリラックスした時間も大事

 〝脂っぽいけれど乾燥もしている〞という現代人の典型的なストレス肌は、忙しさで目や頭に血液が集中して顔の血流が滞り、薄くなった角質層を補うために皮脂の分泌が増え、毛穴が開くことが原因です。

肌のコンディションは自律神経が関与していますが、自律神経を支える「アセチルコリン」や「ドーパミン」の働きは、ビタミンCやビタミンBが支えています。以前、私のクリニックに肌トラブルの治療で来ていた患者さんが、「うつ病の治療に抗うつ剤を飲んでも効かない」と言っていたのに、肌治療のためにビタミンCが豊富に配合された「カクテルビタミン注射」をしたところ、うつ病まで改善したという例もありました。

 ビタミンを上手に取り入れるには、肌から入れるよりも先に、まず体内のビタミン環境を満たすことが大前提です。先にもお話ししたように、肌からビタミンを入れると同時に血中(体内)にビタミンが充分に満たされていることが、スキンケアには欠かせません。

また、食物からのビタミンをきちんと摂り込めるように、胃腸の吸収をよくする生活も心がけること、交感神経を正常に働かせ、ストレスを減らせるよう、一日の中でリラックスできる時間を設けることも大切です。