■在宅ワークとは

在宅ワークとは、会社などに所属しない個人事業主が、パソコンなどの情報通信機器を使って自宅で仕事を行う業務形態のことです。会社に雇用されている会社員が自宅で仕事をするケースは「在宅勤務」と呼ばれ、在宅ワークとは区別されます。

仕事を依頼する注文者と、その仕事を引き受ける在宅ワーカーは、請負契約を結び、在宅ワーカーが仕事を完成させた時点で注文者が報酬を支払うという形の契約になります。在宅ワーカーは、仕事を完成させることに対して責任がありますので、ミスがあった場合は、補修や損害賠償の義務が生じることになります。

■内職との違い

自宅で仕事を行う内職と在宅ワークは同じものだと思われがちですが、内職は、委託を受けて物品の製造や加工を行う業務形態のことを指します。内職に対しては「家内労働法」という法律が適用されており、最低工賃が決められていたり、工賃の支払いが1ヶ月以内と定められていたりと、労働環境について保護されています。

また、在宅ワークは、仕事の受注、納品は全てインターネット上で行われることが前提であり、原稿を元に入力作業を行い、提供された外部記憶媒体(CD-R/CD-RWなど)に保存して納品する場合は、内職と同じ「家内労働」扱いになります。

■在宅ワークのガイドライン

内職などの家内労働に比べ、在宅ワークは、今のところ「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」が発行されている程度で、法律はありません。契約上のトラブルがあった場合は、全て自己責任となります。

請負契約は、当事者双方が合意すれば成立しますので、必ずしも契約書を作成する必要はありませんが、口約束で終わらせてしまうと、裁判になった時などに契約内容を証明するものがなく、不利になる可能性がありますので、契約書は必ず作成するようにしましょう。

ガイドラインでは、注文者が在宅ワーカーに仕事を依頼する時に守るべき事項として、以下のような内容が記載されています。

・契約条件の文書明示および3年間保存義務について

 契約書では、次の①~⑩の事項を明らかにしておくこと。
 ①注文者の氏名、所在地、連絡先
 ②注文年月日
 ③仕事の内容
 ④報酬額、報酬支払期日、支払方法
 ⑤注文者が負担する経費の範囲
 ⑥成果物の納期、納品先、納品方法
 ⑦契約締結後に契約条件を変更する場合の取扱い
 ⑧成果物が納期に間に合わなかった場合や補修が必要な場合の取扱い
 ⑨成果物に著作権などが与えられる場合の取扱い
 ⑩個人情報を取り扱う場合の安全管理に関する事項

・報酬の支払期日、報酬額の適正化について
・半年以上続いている注文を打切る場合の事前予告について
・成果物が不完全であったことなどによる損害発生時の責任範囲について

上記に示した以外にも、在宅ワーカーに有益となる記載がありますので、これから在宅ワークを始めようとする方、既に在宅ワーカーである方も、一度ガイドラインの内容を確認されておくことをお勧めします。