長年ドラえもんの声を担当してきた声優でおなじみの大山のぶ代さんはみなさんもご存じのことと思います。ドラえもんは多くの人に愛されるアニメとしておなじみであり、日本だけではなく海外でも多くのファンが存在します。
大山のぶ代さんは2017年現在83歳を迎えました。2008年4月24日に心筋梗塞と脳梗塞を発症し、その後リハビリを行い見事復帰を果たしました。しかし2012年秋にアルツハイマー型の認知症の診断を受けます。この当時から1人でどこかへ行ってしまう徘徊やまったく想定できない不快な行動を繰り返すようになったといいます。
その一例として野菜を切りながら鍋を空焚きするといったものです。空焚きしているので匂いがすごい状態だったのですが、アルツハイマーの影響で大山さんは匂いに気がつかない状態で調理をしていました。
それだけに留まらず今まで普通にできた行動ができなくなり、電気はつけっぱなし、冷蔵庫は開けっ放し、服は裏返しでもお構いなし(気が付かない)、薬の飲み間違えなど小さなことから命に関わることまでさまざまな面で支障をきたすようになったといいます。
また脳の変化で暴言も増えていきます。2人は子供がいなかったこともあり、当時介護していたのは夫の砂川啓介さん。彼女のイメージを必死で保とうと周囲にひた隠しにし、介護のすべてを請負っていたのですがついには大便を粗相するなどといった事態になり、1人で抱えるには限界の状態になりました。
そこで相談したところ「1人抱えず公開したり周りのサポートを受けることが大事」とアドバイスを受け、大山さんの病状を公表、そして周りの力を借りるに至ったといいます。
砂川さんは『娘になった妻、のぶ代へ――大山のぶ代「認知症」介護日記』で手記を記載しています。こちらを読むとわかりますが、彼女の築き上げたイメージを壊したくないという思い、そして自らすべてを背負って介護に取り組んだ姿、変わりゆく妻への葛藤が記載されています。
介護は他人事ではありません。人生は生から始まり、そして老い(老後)が待っています。老いた時、認知症になりたくない、人に迷惑をかけたくない、と誰しも思うものです。なるべくなら家族でサポートしたいとも考えることでしょう。
実際に家族サポートだけでは限界が来る日が訪れることも少なくありません。介護は精神・体力・そして資金との闘いです。老人ホームや施設に入れることに罪悪感を感じる人もいるかもしれませんが、これらの力を借りて患者を安全な場所で介護することも大事なことです。女性はそういったことに目が届く可能性がありますが、男性の介護者となると、どういう風に周囲のサポートを受けるべきかわからない、といったケースが非常に多くみられます。砂川さんの例もその1つです。
現在奥様の介護をしている男性はもちろんのこと、男性の皆様は今後万が一でも奥様の介護が必要になった場合に備えて、砂川さんの日記はぜひ一読してほしい内容です。
介護に悩んでいる方は、今すぐサポート機関に相談することをおすすめします。