老化=身体のサビには、ポリフェノールの抗酸化力。

肌や細胞はアミノ酸の集合体。

 近年、健康食品やサプリメントで「ポリフェノール入り」をうたうものは沢山ありますが、これを見て、ポリフェノールをひとつの成分だと思っている人は、まだまだ多いのではないでしょうか。
 ポリフェノールは、「poly(たくさんの)phenol(フェノール)」という意 皆さんに馴染みのあるものとして代表的なポリフェノールには、カテキン(緑茶)、アントシアニン(ブルーベリー)、ルチン(蕎麦)、イソフラボン(大豆)などがあります。これらは身近な食べ物の多くに含まれているため、普段の食生活で摂ることができます。
 ビタミンCは細胞間の水溶性部分でのみ、ビタミンEは脂溶性部分でのみ抗酸化効果を発揮しますが、ポリフェノールは、水溶性部分、脂溶性部分はもちろん、活性酸素のダメージを最も受けやすい細胞膜上でも抗酸化作用を発揮します。この抗酸化力が体内の多岐にわたり作用する点が、ポリフェノールの最大の特徴です(図4)。
 強い抗酸化力に加え、ポリフェノールには肝臓で脂肪の燃焼を促進させる働きもあるため、ダイエット効果も期待できます。ポリフェノールが多く含まれるコーヒーなどを飲んでから運動すると、脂肪の分解に働きかける遊離脂肪酸が増え、エネルギーを燃焼させやすくします。ただ、過度な運動は活性酸素を増やしてしまう可能性があるので、軽めの有酸素運動がおすすめです。
 さらにポリフェノールには、抗菌作用や殺菌作用、抗炎症作用もあります。雑菌から肌を守り、炎症を抑え、皮膚細胞のDNAをも修復してくれることから、睡眠不足やストレスからくるニキビ・肌荒れを抑えることができます。
 また、日焼けによるシミの発生を防ぐためにも、ポリフェノールは欠かせません。シミはメラニン色素が肌に沈着してできるもの。このメラニン色味です。ほとんどの植物に含有され、その数は5千種類以上に及びます。光合成でできる植物の色素や苦味の成分でもあり、植物内においては、細胞の生成、活性化などを助けます。
「ポリフェノール研究所」の所長の松本先生が最初に手がけたポリフェノールの研究は、緑茶に含まれるカテキンと、赤ワインや紅芋に含まれるアントシアニンを使って、発ガンを予防するというテーマでした。カテキンもアントシアニンも、ポリフェノールの一種です。また、〝静岡県の人は虫歯が少ない〞という疫学調査報告があり、それが緑茶に含まれるポリフェノールによるものではないかという仮説から、日本のポリフェノール研究が始まりました。
 ポリフェノールが話題になったのは、十数年前に「フレンチ・パラドックス」説が登場した頃からです。フランス人は、喫煙率が高く脂肪分の摂取量も多いのに、動脈硬化や虚血性心疾患による死亡率が少ない傾向があります(図2)。その理由がフランスが消費量世界一※1 となっている赤ワインにあるのではないかということで研究が始まり、結果、赤ワインに含まれるポリフェノールが注目されました。

※1 葡萄・ワイン世界国際機構2007年調べ

 

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