13種類あるヒトのビタミンの中でも肌にはやはりビタミンC②
体内に摂り込まれたビタミンCが脳や心臓に優先的に伝達される一方で、肌は常にビタミンCを欲している状態です。しかし、脳や心臓にビタミンCが満たされると、残りは過剰分として尿と一緒に排出されてしまいます。これはなぜでしょう。
似たような事例に、マグネシウムがあります。マグネシウムには、かゆみを引き起こす「ヒスタミン」の放出を抑えたり、表皮の分解や皮膚のバリア機能を促進する作用があります。しかし、ビタミンC同様、過剰分が尿に排出されてしまいます。また、ストレスでも尿への排出が促されてしまうため、血中のマグネシウムが減りやすい傾向があります。すると、それを補うために皮膚内のマグネシウムが血中に流されていくのです。その結果、血中のマグネシウム濃度は平常を保ちますが、皮膚内のマグネシウム濃度は下がり、これが肌トラブルの原因にも繋がります。私のクリニックでは、アトピー性皮膚炎の患者さんにマグネシウムを多量に与えた結果、劇的に肌がキレイになったという例があります。
これらのことから、ビタミンCやマグネシウムが肌に届かず尿で出てしまう理由は、血中濃度が満たされた段階で、体が〝もうこれで充分だろう〞と判断してしまうからではないかと考えられます。
肌にビタミンCを効かせるために
以前、ビタミンC誘導体クリームを使っても肌の状態が改善されない
患者さんがいました。その方の血中ビタミンC濃度を計ったところ、驚くほど低い数値で、壊血病の一歩手前でした。そこで、ビタミンCを静脈注射とスキンケアで徹底的に与えたら、あっという間に肌がツルツルになりました。ビタミンCには角質層のバリア機能を上げたり、血管の合成を促進させたり、さらにメラニンを退色させる作用があります。皮膚の断面図(図2)を見ると、毛細血管のさらに下(真皮の下層)に太い血管があります 。この血管に※栄養されている細胞は全身の10分の1くらいしかなく、ほとんどの細胞は毛細血管やリンパ管からの体液で※栄養されています。化粧品などで肌から摂り入れたビタミンCは、太い血管に届く前に、血漿やリンパ液などに吸収されてしまいます。また、血中のビタミンC濃度が満たされなければ、真皮にビタミンCを留まらせることはできません。そこで、健康な肌をつくるための近道として、まず静脈注射で血中のビタミンC濃度を上げ、そのうえで肌からもビタミンCを入れる方法があります。もちろん、C以外のビタミンも大事な働きがあるので、ビタミンCを はじめ各種ビタミンを静脈注射で体内に入れる、「カクテルビタミン注射」をすすめています。