老化=身体のサビには、ポリフェノールの酸化・還元する作用

抗酸化作用の効果・還元作用

細胞の酸化を促す活性酸素はもともと善玉的存在。

 ポリフェノールの特徴は、強い抗酸化作用にあります。抗酸化作用は身体の「酸化」に働きかけます。身体の「酸化」とは、呼吸時に取り込んだ酸素により、身体の細胞ひとつひとつが酸化していくこと、つまり「老化」することです。
 呼吸で取り込まれた酸素のうち、およそ2〜3%が体内で「活性酸素」に変化します。しかし、この「活性酸素」は、そもそも体内に侵入した細菌やウイルス等を攻撃して死滅させてくれる〝善玉〞なのです。この活性酸素が、紫外線や喫煙、ストレス等により身体の中で増え過ぎてしまうと、悪玉に転じるのです。

 

悪玉化した活性酸素は身近な病気や症状の要因に

 悪玉となった活性酸素は、体内の正常な細胞を攻撃したり、DNAを傷つけたり、細胞を老化させるなど、身体のあらゆる組織に害を与えます。
 加齢とともに増加する動脈硬化や脳梗塞、虚血性心疾患やガンなどの生活習慣病をはじめ、肌のシミ、シワ、小じわ、肌荒れやくすみなど、皮膚の老化といわれる症状に、活性酸素が関係しています。
 ポリフェノールの抗酸化作用には、悪玉の活性酸素を吸収するものや、この活性酸素によって酸化(老化)させられた細胞や組織を元に戻す(還元する)働きのものがあります(図3)

 

ポリフェノールの数は5千種類以上

肌や細胞はアミノ酸の集合体。

 近年、健康食品やサプリメントで「ポリフェノール入り」をうたうものは沢山ありますが、これを見て、ポリフェノールをひとつの成分だと思っている人は、まだまだ多いのではないでしょうか。

 ポリフェノールは、「poly(たくさんの)phenol(フェノール)」という意 皆さんに馴染みのあるものとして代表的なポリフェノールには、カテキン(緑茶)、アントシアニン(ブルーベリー)、ルチン(蕎麦)、イソフラボン(大豆)などがあります。これらは身近な食べ物の多くに含まれているため、普段の食生活で摂ることができます。

 ビタミンCは細胞間の水溶性部分でのみ、ビタミンEは脂溶性部分でのみ抗酸化効果を発揮しますが、ポリフェノールは、水溶性部分、脂溶性部分はもちろん、活性酸素のダメージを最も受けやすい細胞膜上でも抗酸化作用を発揮します。この抗酸化力が体内の多岐にわたり作用する点が、ポリフェノールの最大の特徴です(図4)。

 強い抗酸化力に加え、ポリフェノールには肝臓で脂肪の燃焼を促進させる働きもあるため、ダイエット効果も期待できます。ポリフェノールが多く含まれるコーヒーなどを飲んでから運動すると、脂肪の分解に働きかける遊離脂肪酸が増え、エネルギーを燃焼させやすくします。ただ、過度な運動は活性酸素を増やしてしまう可能性があるので、軽めの有酸素運動がおすすめです。

 さらにポリフェノールには、抗菌作用や殺菌作用、抗炎症作用もあります。雑菌から肌を守り、炎症を抑え、皮膚細胞のDNAをも修復してくれることから、睡眠不足やストレスからくるニキビ・肌荒れを抑えることができます。

 また、日焼けによるシミの発生を防ぐためにも、ポリフェノールは欠かせません。シミはメラニン色素が肌に沈着してできるもの。このメラニン色味です。ほとんどの植物に含有され、その数は5千種類以上に及びます。光合成でできる植物の色素や苦味の成分でもあり、植物内においては、細胞の生成、活性化などを助けます。

「ポリフェノール研究所」の所長の松本先生が最初に手がけたポリフェノールの研究は、緑茶に含まれるカテキンと、赤ワインや紅芋に含まれるアントシアニンを使って、発ガンを予防するというテーマでした。カテキンもアントシアニンも、ポリフェノールの一種です。また、〝静岡県の人は虫歯が少ない〞という疫学調査報告があり、それが緑茶に含まれるポリフェノールによるものではないかという仮説から、日本のポリフェノール研究が始まりました。

 ポリフェノールが話題になったのは、十数年前に「フレンチ・パラドックス」説が登場した頃からです。フランス人は、喫煙率が高く脂肪分の摂取量も多いのに、動脈硬化や虚血性心疾患による死亡率が少ない傾向があります(図2)。その理由がフランスが消費量世界一※1 となっている赤ワインにあるのではないかということで研究が始まり、結果、赤ワインに含まれるポリフェノールが注目されました。

※1 葡萄・ワイン世界国際機構2007年調べ

 

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普段の食事でもポリフェノールを摂取している

他の抗酸化物質よりも活躍の場が広いポリフェノール

普段の食事でもポリフェノールを摂取している

 皆さんに馴染みのあるものとして代表的なポリフェノールには、カテキン(緑茶)、アントシアニン(ブルーベリー)、ルチン(蕎麦)、イソフラボン(大豆)などがあります。これらは身近な食べ物の多くに含まれているため、普段の食生活で摂ることができます。

 ビタミンCは細胞間の水溶性部分でのみ、ビタミンEは脂溶性部分でのみ抗酸化効果を発揮しますが、ポリフェノールは、水溶性部分、脂溶性部分はもちろん、活性酸素のダメージを最も受けやすい細胞膜上でも抗酸化作用を発揮します。

この抗酸化力が体内の多岐にわたり作用する点が、ポリフェノールの最大の特徴です(図4)。







抗酸化力を継続させるためにポリフェノールは頻繁に摂る

抗酸化力を継続させるためにポリフェノールは頻繁に摂る。

身体の抗酸化力を高めるためには、普段の食生活でもポリフェノールの摂取を意識することが大切です。なぜなら、ポリフェノールは体内に蓄積することができないからです。多くのポリフェノールは、30分程度で効果が出始め、3〜4時間でほぼ体外に排出されることが明らかになっています(図5)。

このため、ポリフェノールを含有する食物や飲料をこまめに摂ることが肝要です。 

 医学界でも、抗酸化ビタミン(ビタミンAやビタミンE)・ポリフェノールに心筋梗塞の予防効果があるという研究成果から、ポリフェノールの摂取が推奨されています。ちなみに、緑茶のポリフェノールはよく知られていますが、日本人が最も多くポリフェノールを摂取している飲料は、実はコーヒーです。

 抗酸化作用をわかりやすく説明すると、「身体のサビ落とし」です。ポリフェノールにはたくさん種類があり、それぞれ持っている効果は違いますが、メカニズムのほとんどに抗酸化作用が含まれ、身体に良い物質である、ということはお分かり頂けたと思います。

実は近年の研究で、抗酸化力以外の効果についても明らかとなってきました。ここからは今注目の痩身や美肌など「アンチエイジング」の観点からポリフェノール効果について解説します。

ダイエットにスキンケアにポリフェノールの効果

抗酸化の万能選手、ポリフェノ―ル

ダイエットにスキンケアにポリフェノールの効果

強い抗酸化力に加え、ポリフェノールには肝臓で脂肪の燃焼を促進させる働きもあるため、ダイエット効果も期待できます。ポリフェノールが多く含まれるコーヒーなどを飲んでから運動すると、脂肪の分解に働きかける遊離脂肪酸が増え、エネルギーを燃焼させやすくします。ただ、過度な運動は活性酸素を増やしてしまう可能性があるので、軽めの有酸素運動がおすすめです。

 さらにポリフェノールには、抗菌作用や殺菌作用、抗炎症作用もあります。雑菌から肌を守り、炎症を抑え、皮膚細胞のDNAをも修復してくれることから、睡眠不足やストレスからくるニキビ・肌荒れを抑えることができます。
 また、日焼けによるシミの発生を防ぐためにも、ポリフェノールは欠かせません。

シミはメラニン色素が肌に沈着してできるもの。このメラニン色素を放出する色素形成細胞の「メラノサイト」を刺激するのが、紫外線を肌に受けることで大量発生する活性酸素だからです。いちご、ラズベリー、ザクロ、りんご、ナッツ類などに含まれる「エラグ酸」というポリフェノールには、メラニン色素の発生を抑制する効果があるため、これらを食べることもシミ予防に効果的です。※レスベラトロール配合のシミ取りクリームなども人気ですね。

 また、カテキンやタンニンを含む植物エキスには、皮膚のたんぱく質と結合することで汗腺や皮脂腺を収縮させ、水分や皮脂の分泌を一時的に抑える働きをするものが多数あります。

 本来であれば、〝身体のサビ落とし〞に役立つ抗酸化酵素は肝臓などが作り出していますが、年齢とともにこの機能は衰えてきます。これを補うために食事やサプリメントでポリフェノールを摂ることが、「身体の酸化=老化」を予防する、アンチエイジングにつながるのです。

「植物エキス」として配合されるポリフェノール

美容成分となる ポリフェノールを探そう

「植物エキス」として配合されるポリフェノール
化粧品としてのポリフェノールの効果

ポリフェノールは、サプリメントなどで口から取り込んでも美容効果がありますが、化粧品で肌から直接取り入れても効果的です。ポリフェノールを化粧品から取り入れる場合、ほとんどの化粧品に植物エキスとして配合されます。

植物エキスには、ポリフェノールの他にビタミンやアミノ酸など美容成分も含まれています。「活性酸素から肌を護る」抗酸化が目的なら、植物エキスに含まれるポリフェノールが大変役立ちます。

さらに、ポリフェノールには抗菌作用や美白作用など、抗酸化以外の作用も兼ね備えています。また、一つの植物エキスには数種のポリフェノールが含まれているため、結果的に美容効果が高まります。

 

 

お肌の悩みに合わせたポリフェノールの作用

そこで、シワやタルミ、ニキビや肌荒れなど肌トラブルについて、エビデンスのあるポリフェノールを集めました。

肌トラブルを「シミ・くすみ」「シワ・タルミ」「ニキビ・肌荒れ」「毛穴の開き・黒ずみ」の4つに分け、それぞれの悩み別に効果的な植物エキスを紹介していきます。