近赤外線からの肌の守り方を考えるために、まずは人間本来が持つ太陽光への防御機構を考えましょう。

それは生物が進化する過程まで遡ります。生命が海中にとどまっていたころは、豊富な水のおかげで、紫外線や近赤外線から守られ、太陽光のプラスの作用だけを享受できていたと考えられます。
ところが、生命が陸に上がって初めて、生命は自身の細胞を太陽光のマイナスの作用から防御する必要が出てきました。
陸に上がった初期のシダのような植物は、細胞の外側を「ケラチン」という硬いたんぱく質で覆っています。ケラチンは水分の蒸発を防ぎ、太陽光の作用から体を守るのに大変効果的です。
生き延びるのに精いっぱいの生命ですから、一つで、たくさんの機能を果たせる成分を作らなければなりません。そして、その成分を獲得した生物種だけが生き残りました。

ケラチンは現在地上に生息しているほとんどの生物が作っています。例えば、強い陽射しでも平気で生活している昆虫の硬い外殻や、刈り取っても刈り取ってもすぐに生えてくる羊毛です。これらもまた、長い進化の過程で太陽光から身を守るために備わったものなのです。

現在の地球には、ケラチンのような、乾燥や重力にも耐え、太陽光の刺激をはじめとする外的刺激からも細胞を保護できる成分を獲得した生物で溢れているのです。生物が進化の過程で獲得した成分の機能を学ぶことで、自分たちの生活に活かさなければいけないと、私は考えます。